種子法廃止の問題点について簡単に分かりやすく解説!その目的や廃止の理由は?私達の生活への影響も。

こんにちは!オリカです。

最近ひっそりと話題になっている「種子法廃止」の問題。一体、私たちにどのような影響があるのか、今後の日本の食事情はどうなっていくのか

その問題点論点を簡単にまとめてご紹介していきます。

(2018年6月26日に一部再編集しました。)
(2020年2月16日に一部再編集しました。)
(2020年5月12日に一部再編集しました。)

種子法とは?

種子法とは、戦争直後の日本がまだ食糧難だった時代に、国が「よし、日本国民の主食(主にお米。麦、大豆なども)だけでも、良質なものを国がしっかり確保して、最低限の食べ物が国民に供給できるように、国が管理していこう!そのためにも国がお金を出そう!と言って制定された法律です。

正式名称は「主要農作物種子法」と言い、「種子法」は通称になります。

日本の食料自給率が他の国に比べてとても低い中(平成28年度で日本の全体食料自給率は38%)、「お米」だけは、ほぼ100%の自給率です。

これだけお米の食料自給率を維持しているのも、種子法によって国が良質なお米の種を管理していたのが理由の一つであると思われます。

参照:
農林水産省(2016)「日本の食料自給率」(平成28年度食料自給率について), http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-4.pdf(参照2018年5月1日).
農林水産省(2016)「日本の食料自給率」(総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等), http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-3.pdf(参照2018年5月1日).

種子法廃止の経緯と理由。

ではなぜ、このように日本国民の食を守ってくれるような法律が、私達国民にほとんど何も知らされないまま、廃止になってしまったのでしょうか。

国は「国がいつまでもこの法律で種を管理していたら、民間企業が種子の品種を開発したり研究をしたりする邪魔になるじゃないか。時代のニーズに応えるためにも、企業もこの種子を自由に取り扱えるように種子法を廃止することで、いろんな企業に活躍してもらって、種子の改良をしてもらおう」ということを主な廃止の理由としています。

「農業競争力強化支援法」とは?

また、種子法廃止とセットに議論される新法があります。

種子法廃止と時期を同じくして、新法「農業競争力強化支援法」というものが制定されましたが、読んで字の如く、企業が農業に積極的に参入し、競争を促すことを支援しますよ、という、方向としては種子法とは逆を辿る法律です。

この法律によって、種子法によって国がお金を出し続け、今まで何十年、何百年と培ってきた、もはや私達の「公共の財産」とも言える農産物の栽培の知識を、利益追求ができる民間企業に提供する事ができるようになってしまったのです。

種子法廃止の問題点は?

では、種子法廃止と、農業競争力強化支援法制定によって、どんな問題点が浮かび上がってくるのでしょうか。主な問題点を2つご紹介します。

食料の価格が高騰する可能性がある

種子法が廃止されると、種子の管理、研究、生産にあてられていた国の予算がカットされる事はほぼ必至です。

お米の場合は、今まで公的な農業研究機関から稲作農家さんに種苗が供給されていましたが、国からの経済的サポートがなくなれば、そういった供給の流れは今まで通りにいかなくなります。

そうなると、稲作農家さんの生産コストが上がり、結果的にお米の価格に反映され、私たち消費者のお財布にしわ寄せが来る可能性があるのです。

私たちの食の選択肢が狭まる

種子法廃止と農業競争力強化支援法によって、企業が種子の開発に手を出し始めると、“より優秀な農作物”が生産され始めます。

例えば、害虫に強く、気候の変化にも強く、栄養価が高く、味も申し分ない「スーパーライス」はどうでしょうか。

企業の種子研究・開発によって、こんな「スーパーライス」が生まれたら、日本にこの種子が広まるのは容易に想像できます。特に、世界規模の大企業なら資金力もあるので、このような種子開発はすぐにやり遂げてしまいそうです。

一見、こんなスーパーライスがあったら農家の人も消費者である私達にとっても嬉しいことなのでは…と思われるかも知れません。

しかし、本当のところはそうとも言い切れないのです。

日本の各地域にはそれぞれの地域の特色や特徴を持つ、風土ごとの美味しいお米がたくさんあります。私たちは、種子法によって国に守られてきた各地域のお米の、その微妙な味の違いを楽しんできました

しかし、種子法廃止と農業競争力強化支援法によって、スーパーライスが広く市場に出回れば、それぞれ特色を持った多くの品種が消えていってしまう可能性があるのです。

とても極端な話、私たちのお米の選択肢の中には、「スーパーライス」の1つしか残らない日が来るかもしれません。

また、スーパーライスの生産には、遺伝子組み換え技術やゲノム編集、大量の農薬や化学肥料の使用が伴いますので、環境への負荷がかかる事も忘れてはなりません。

「遺伝子組換え」や「ゲノム編集」が出回るのではないかという問題

遺伝子組換えやゲノム編集された主要作物が出回りはじめて、日本国民の食が脅かされる!」と懸念されている方が増えてきています。

驚かれる方も多いかと思いますが、実は「ゲノム編集」については、既に食品への表示をする事なく流通させる事が可能になっています。ゲノム編集そのものについても知らない国民が多いのにも関わらず、です。

また、「遺伝子組み換え」についても、一部の食品の表示義務が無くなる方向で進んでいます。

遺伝子組換えやゲノム編集されたお米や小麦はスーパーにもう並んでいるかも知れないのです。

私達は、すでに「遺伝子組み換え」や「ゲノム編集」でないものを選びたくても、選べなくなってしまいつつあるのです。

ご想像の通り、企業の目的は利益追求ですから、より効率的に生産できて、収穫量も多く、気候や害虫への耐性があり、100人中100人が美味しいと言うようなお米を作るには遺伝子組み換えやゲノム編集の技術が必要になってきます。

これはすでに新法「農業競争力強化支援法」によって、自由に種子苗の研究・開発ができるので、企業にとってはクリアされている問題です。

問題は「イメージ」です。

何度も言うように、企業の目的は利益追求ですから、今までのように食品ラベルで目にする「遺伝子組み換えでない」「遺伝子組み換え混合」といった表記の表示義務は、はっきり言ってイメージ戦略には「邪魔」なのです。

遺伝子操作された農作物とそうで無いものが生産過程ではっきり区別出来ないため表示義務を無くす、などとしていますが、首をかしげてしまいます。

種子法廃止からの農業競争力強化支援法制定、そして極めつけに、遺伝子組み換え、ゲノム編集の表示義務の緩和という一連の流れの中から覗えることはたくさんあります。

参照文献
山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, p.5.

オーガニックとの関連

遺伝子組み換え作物やゲノム編集技術に関してですが、このブログのテーマであるオーガニックの観点から言うと、農薬や化学肥料を使えない有機農産物だからこそ、遺伝子組み換え技術を上手に使って、より強い作物を作ればいいじゃないか、と言う遺伝子組換え・ゲノム編集肯定派の方もいらっしゃいます。

現在の有機農産物の規格では遺伝子組み換え・ゲノム編集はほぼ使えませんから、現段階では直接的に交わる議論ではないと思いますが、問題は「有機JAS規格に則ってないから」とか「農薬や化学肥料を使えないなら遺伝子組み換えやゲノム編集を使えばいいじゃない」といった表面的な事ではなく、もっと別のところにあると感じています。

遺伝子組み換えやゲノム編集が有機JAS規格の中で規制緩和されることによって失われるものは私達の想像以上に大きいはずです。

すべては繋がっている

先にも述べたような日本の各地域の風土に合った特色を持つ作物」を楽しむことによる日本人の食に対する心の豊かさ地産地消をすることの地方への経済的なメリット子どもたちへの食育自然環境への負荷次世代への負担などを考えると、種子法廃止からの遺伝子組み換えやゲノム編集への規制緩和の一連の流れのルートは看過できるものではないと思っています。

また、関連法で「種苗法」の改定もひっそりと話題になっていますが、これが改定されると、さらなる大きな問題が浮かび上がってくることでしょう。

種子法、農業競争力強化支援法、遺伝子組み換えとゲノム編集、種苗法、全て別々のもののように思えますが、本当はそれぞれ密接に繋がっています。

私は、全くと言ってよいほど国民に知らされる事がないまま、種子法廃止を強行するべきではなかったのでは、と強く思っています。

参照:
「タネは誰のもの?「種子法」廃止で、日本の食はどう変わるのか―種子の専門家に聞く」, < http://kokocara.pal-system.co.jp/2017/05/29/seed-yoshiaki-nisikawa/> 2018年5月1日アクセス.
山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, 237p.


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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