ゲノム編集とは?遺伝子組換えとの違いや問題点は?オーガニックとの関連についても考察

こんにちは!オリカです。

今回は、日本でも議論がなされ始めた「ゲノム編集」について、遺伝子組換えとの違いを解説し、オーガニックとの関連を考察していきたいと思います。

※ご注意:この記事では、ゲノム編集によって生まれた中国の双子の赤ちゃんについては触れていません。

(2018年11月29日に再編集しました。)
(2020年5月12日に再編集しました。)

ゲノム編集とは?遺伝子組換えとの違いは?

ゲノム編集は、とても簡単に言うと「遺伝子組換えのレベルアップバージョン」です。

遺伝子組換えよりも、簡単で、なおかつ成功率も高く遺伝子組換え技術で成功しなかった遺伝子操作が出来るようになります。

やり方は、人工酵素のハサミでDNAの中から要らない部分を切り取るのです。本当に簡単に聞こえますよね。

ゲノム編集の目的は、遺伝子組換えと同様に、より効率的に生産するところにあります。

例えば、農作物の収穫量を遺伝子操作によって増やすことができたり、成長を遅らせたり、早めたりすることが出来ます。通常よりも多く収穫できる稲、高オレイン酸の大豆、養殖しやすいマグロ、卵アレルゲン含有が少ない鶏など、数多くの農作物や水産物、畜産物に使用され始めています。

また、遺伝子組換え技術は他の農産物や生物など、外部からの遺伝子を組み替えられるのに対し、ゲノム編集では、基本的にその農作物や生物本体の遺伝子を操作するのみ、とされていますが、そのあたりに関しては日本でも議論が始まったところで、遺伝子組み換えと異なりほとんど法整備や規制がない中、今後の方針について慎重に検討していくようです。

法律での規制は?

遺伝子組換え技術に関しては、生物多様性を保護する目的で作られたカルタヘナ法という法律に基づき、規制されています。

もちろんゲノム編集も、遺伝子組換えと同様にカルタヘナ法が監視の役目をするようになり、カルタヘナ法に準拠していないものは許可されません。

日本では、現在の法律ではかなりグレーの位置づけとなっており、今後、法的な制度を作り、方針を具体的に固めていく意向です。

また海外については、アメリカではゲノム編集に比較的寛容な姿勢をとっているようで、一方、ヨーロッパ各国ではかなり厳しく規制をしているようです。

ゲノム編集の技術は簡単で成功率が高いためか、企業によって比較的自由に研究されている現状があり、研究の過程で予期しない突然変異を起こした例もあるそうです。

これから起こり得るであろう食糧危機の打開策などのメリットもある一方で、自然界に存在しないものをこのように簡単に許してしまうことに否定的な専門家は、少なくないことでしょう。

実際に日本で研究や実用化を進めるとなると、規制に関する法整備に関しては、考えられるありとあらゆる可能性を慎重に議論していくべきです。専門家の中には、このようにDNAを人工的に操作した生産物が、自然の中で、操作されていない生産物と交配してしまい、遺伝子操作されたものとそうでないものが混合されて市場に出回ってしまう、等の可能性があるとして、法律や規制について丁寧に話し合われるべきだとしています。

ゲノム編集の表示義務

しかし、「慎重に議論を進めていく」とは言いつつも、実はゲノム編集は、すでに食品ラベルへの表示義務はありません

これを知った時には私も非常に驚きました。

つまり、ゲノム編集された食品を食べたくなくても、もう選べないのです。

ゲノム編集の「ゲ」の字も知らない人がいるのでは、というくらいに周知されていないのにも関わらず、すでに「表示義務なし」。

遺伝子組み換えの安全性について長年まだ議論されている最中なのにも関わらず、これにはただただ驚きを隠せません。

参照文献
山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, p.5.

2018年の種子法廃止と絡んでいる

2018年4月に種子法が廃止されましたが、それが今後ゲノム編集の法整備に関連してくるのではないかと思っています。

種子法は、戦後ずっと国が管理していた主要な作物の種を、民間企業も自由に管理・開発できるように、といって2018年4月に廃止されたものですが、その企業が、種の開発にゲノム編集や遺伝子組換えを利用する事は想像に難くありません。

これを考えると、超優秀なスーパー作物がゲノム編集や遺伝子組換えによって開発され、私達が知らないうちに食卓の上に出てくる日はもう間近かもしれません。

種子法廃止に関しては以下の記事をご覧ください。

オーガニックとの関連について

現在の有機JAS規格では、遺伝子組換え技術は使用できません(例外がありますが、ほぼ使用不可です)。これはどの国のオーガニック規格でもほぼ同様に禁止されています。

ただ、遺伝子組換えやゲノム編集をあえて使うことによって、虫や雑草に強い品種を作れば、農薬を使用しなくても、今までよりも容易に有機農産物が生産できるのではないか、そこを、遺伝子組換えとゲノム編集は悪だ、と頑なに言い続けることで、有機農産物の生産の妨げにすら繋がっているのではないか、という意見の方もいます。

現在のオーガニック規格では遺伝子組換えを禁止していますし、おそらく今後もオーガニックと遺伝子組換えやゲノム編集が手を取り合うことはまずないでしょう。また、私も遺伝子組換えやゲノム編集がオーガニックに入り込んでくることには否定的な立場にあります。

まだまだ不明瞭な部分が多い遺伝子操作の技術。各国で反対運動が頻繁に起こったり、モンサント社との訴訟のニュースが流れたりと、食品業界では非常にダークな部分が色濃いですが、自然に起こりえないものを人間の都合で生み出すことで、いつか歪が生じてくる可能性は常にあるのではないかと思っています。

参考
山田正彦. 売り渡される食の安全,株式会社KADOKAWA, 2019, 237p.


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